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第5話 事件現場は美術室

Penulis: いろは杏
last update Terakhir Diperbarui: 2025-10-21 19:00:00

「――これより、模擬事件演習を開始する! 制限時間は六十分! 健闘を祈る!」

 鬼瓦教官の号令が、磨かれた廊下に反響し、緊張の粒を振りまいた。新入生たちは一斉に第一美術室の扉へと雪崩れ込み、空気の温度が一段低くなる。

 油彩と洗い残した松ヤニ、石膏粉の乾いた匂い――美術室特有の匂いが、初めての現場に踏み入った彼らの鼻腔を刺す。

 最下位チーム『ラストホープ』――猛、青野、白河――も他の生徒の流れに続いて入室した。それぞれが抱く焦りと期待の温度は違うが、「ここで点を取らねば終わる」という自覚だけは奇妙な一致を見ていた。

 彼らを迎えたのは、美術室特有の匂いだけではない。部屋中央――展示の主役として据えられているはずの銅像『思索する猫』が、忽然と消えている。空っぽの展示台が、かえって不在の輪郭をくっきりと浮かび上がらせていた。

 さらに、奥の窓が数センチ開いており、窓枠には泥を含んだ小さな靴底の痕が二つ、内外に跨ぐように残されていた。

 生徒たちが散開し、現場の情報を拾い始めた矢先、扉口で顔面蒼白の女性が声を上げる。

「あ、ああ……! ない! ないわ! 私の『思索する猫』がっ!」

 被害者役の美術教師にして美術部顧問、|彩吹詩織《あやぶき しおり》。彼女は段取り通りに、生徒たちと同時に入室し、発見したこの惨状を告げる。

 目尻には涙の縁をにじませており、その演技っぷりはやや大仰にも思える。

「先生、落ち着いてください」

 序列一位『プロミネンス』の神楽坂が最短の距離で近づき、声のトーンだけで場を制する。隣で西園寺玲華が手帳を開き、轟周平は室内の出入口と窓の位置関係を無言で測る。三人は練れた連携を、言葉少なに立ち上げていた。

「一体、何があったのですか?」

「わ、私にも……! 最後に像を確認したのは、今日の九時五十分ごろ。その時は確かに、あの展示台の上にありました。それから隣の準備室に十分ほど用があって……十時ちょうどに戻ったら、この有様で……!」

 彩吹は震える息の合間に必要な情報を置く。盗まれた『思索する猫』は高さ三十センチ、重さ五キロほど。片手で軽々とはいかないが、両腕ならば持ち運びは可能――犯人像の幅を、敢えて広げる数値だ。

 鬼瓦がそこで区切るように、重々しく口を開く

「――つまり、犯行が可能なのは彩吹先生が部屋を空けていた九時五十分から十時までの十分間」

 ざわ、と小さな波が教室全体を撫でる。

「この『空白の十分間』について、廊下の監視カメラを確認した。少なくとも三名の上級生が美術室に出入りしており、彼らが重要参考人となる」

 鬼瓦は手元の資料をめくり、要点だけを拾い上げる。

「一人目、二年、|小鳥遊翼《たかなし つばさ》。美術部所属。九時五十二分ごろ入室、二分後の五十四分に退室。『昨日の部活で使ったヘラを取りに来た。その時は像はあった』と証言」

 猛は短くうなずく。美術部員――であれば、この部屋のことをよく知っているはずだ、と彼の直感が告げる。

「二人目、二年、|熊谷剛《くまがい ごう》。柔道部所属。九時五十五分ごろ、教師に頼まれた荷物の運搬のため入室。入り口付近に荷物を置き、九時五十六分に退室。『急いでいたので展示台は見ていない。像があったかは不明』とのことだ」

 青野はその曖昧さに軽く眉を動かす。不明――曖昧な記憶は嘘より扱いが厄介だと、彼は経験的に知っている。

「三人目、二年、|姫川咲《ひめかわ さき》。生徒会所属。九時五十七分入室、九時五十九分退室。『授業で使う石膏像を借りに来た。猫の像はなかったように思う』と証言している」

 白河はタブレットの画面を指先で素早く掃く。

 小鳥遊の『あった』と姫川の『なかった』――像に関する主張は表裏だ。そして、間に挟まる熊谷の『不明』が不安定な橋のように横たわる。

 時間配列と三人の主張――彼女の頭の中で、透明な見取り図が線を増やしていく。

「以上三名が重要参考人だ。もちろん、彼らの中に犯人がいる可能性も大いにある。ただし退出時、いずれの手にも銅像はなかった。三名は別室待機中だが、まもなくこの部屋へ来る。必要に応じて現場で聴取を行え。時間は限られているぞ」

 鬼瓦の言葉が終わるや、視線がふたたび現場へと降り注ぐ。

 開いた窓。泥の付いた窓枠。空っぽの台。床板の微かな擦れ跡。無造作に見えて意味を持ちうる全て。

 六十分の砂時計は、音もなく落ち始めていた。

 猛は、やるべき順序を素早く並べる。まずは現場――体を動かせる場所から入るのが自分には最良だ。手触り、重さ、距離感。目に見えるものの物理を確かめれば、いつか真実に辿り着く――そう信じている。

 彼は展示台へ向かう足を一歩踏み出し、拳を無意識に握り直した。

 青野は、捜査の骨組みを頭の中で立ち上げる。重要参考人の三名、証言の揺れ、物証の主張――まずは現場の情報を精査し、証言に裏付けの糸を通す。

 そのための聴取順、質問の設計、言葉の温度――自身の得意領域における作戦を練り上げ始めた。

 白河は、情報の海に落ち着いて潜る。窓が開いているのは『出入口』を示すが、開いていること自体が『演出』である可能性。

 泥の付着は外から内か、内から外か。踏面の幅、斑点の間隔、窓台の高さから割り出せる身体的条件。

 犯行時間の短さと像の重量から導かれる運搬経路。

 相関の線が幾本も走り始める。彼女の思考はやがて、矛盾と整合の差分が浮かぶ地点に収束していく。

 周囲では上位チームが分担を手際よく決め、素早く測距し、写真を押さえ、彩吹への一次聴取を始めている。

 神楽坂は視線でチームを動かし、西園寺は展示台周辺の証拠を丁寧に回収、轟は窓の外の植え込みの踏み荒らしを一歩で確かめた。

 彼らに迷いはない。勝ち方を知る者の動きだ。

 対して『ラストホープ』の三人は、まだ合図なくして合奏を始める段階にいる。

 偽りの証拠と真の痕跡が隣り合って置かれた美術室で、落ちこぼれチーム『ラストホープ』の捜査は、いま静かに幕を開けた。

 ここから先は、観察と洞察と論理の合奏ができるかどうか――そして、三人の強みが一本の矢として放てるかどうかに、すべてが懸かっている。

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